日常のケアを発表 特養の介護士らが関係者に

2024年1225 福祉新聞編集部
あいさつする田宮副理事長(左)

「第2回福祉サービス実践・研究発表会」が17日、戸山サンライズ(東京都新宿区)で開かれ、約100人が参加した。高齢や障害分野などで働く12法人の職員が日ごろのケアの内容を語った。

発表会は、新潟県の社会福祉法人長岡福祉協会など複数の法人で構成する実行委員会が昨年から開始。開会にあたり同協会の田宮尚明副理事長は立ち上げの狙いについて、福祉分野も医療と同様に発表の場を増やして支援の質を上げることだと強調。「各施設には素晴らしい実践がある。お互いに学んで一緒にレベルアップできれば」と述べた。

発表会では「多職種連携」や「ICT(情報通信技術)導入」など4分科会で28演題の発表があった。

社会福祉法人東京栄和会が運営する特別養護老人ホームで働く立石未来也さんは、2024年3月から全54床にカメラ型見守りセンサーを導入した効果について発表した。

現場の専門職11人と経営層2人にインタビューを実施。現場からは「転倒の際に家族に状況を正しく説明できる」などと評価の声があった一方、映像確認時はすでに事故が起きているという課題も浮かび上がった。業者と相談し、最適なタイミングでセンサーが発報するよう調整した。立石さんは「長年の勘から、科学の目による対応へと進化した」と強調した。

また、長岡福祉協会の遠藤真紀子さんは、精神障害などがある人への就労支援の内容について紹介した。

もともとはオリジナルの洋菓子を製造していたが、新聞記事をきっかけに、地域のスーパーでの販売が決定。3月には豆腐チーズケーキなどが同スーパーの独自ブランドとして取り扱いが決まり、4~9月の売り上げが前年同月比で100万円増えたという。

遠藤さんは「地域とのつながりは、利用者支援と生産活動の質と幅を広げる。共生社会に向けた一歩だ」と述べ、今後も利用者の自己実現に向けた支援に力を入れる考えを示した。