障害者への資格免許 8年で3316件申請に全件交付

2024年1210 福祉新聞編集部

障害を理由に免許を交付しない規定(欠格条項)が約700の法令にあるとされる中、2016~23年度の8年間で申請したすべての人に免許が交付されたことが分かった。天畠大輔参議院議員(れいわ新選組)が国家資格一覧を基に厚生労働、農林水産など6省から回答を得た。11月27日に開かれたオンラインイベントで報告され、参加者は障害があっても諦める必要はなく、可能性は広がっていることを共有した。

回答によると、37の国家資格について8年間で計3316件の免許が交付された。年々増加しており、直近の23年度は545件だった。免許別では小型船舶操縦士、美容師、看護師、薬剤師などが多く、医師も59件あった。

かつて医療関係の大半の免許では患者に危険が生じる恐れがあるとして「免許を与えない」という絶対的欠格条項があったが、01年の法改正で「免許を与えないことがある」という相対的欠格条項に緩和された。その影響もあり、希望する職業に就くため、免許を取り、活躍している人が増えてきた。

イベントで登壇した守田稔さんは、03年に視覚障害者として日本で初めて医師免許を取得した。医学生の時に病気で失明し、うつ状態になり、失意のどん底にいたが、01年の改正医師法で絶対的欠格条項が撤廃されたことで「目が見えなくても医師になりたいという希望を持てた」と言う。現在は精神科医としてカルテはパソコンで音声入力するなど工夫して働く。「視覚障害のある医療従事者が働いていけることを知ってほしい」と話した。

欠格条項完全廃止を

イベントでは、相対的欠格条項がまだ残っているため、障害者は試験に合格しても状況によっては免許が交付されないのではという不安があり、周囲も誤解や偏見で無理だと決めつけてしまう状況が変わっていないことが課題に挙げられた。

共催した障害者欠格条項をなくす会の福島智共同代表(全盲ろう者)は「欠格条項を完全になくすためにも障害者の挑戦が重要になる。イベントのオンデマンド動画配信が12月半ばに始まる予定。