〈強制不妊手術訴訟〉賠償1500万円、和解に調印 議連が補償法案まとめる
2024年09月20日 福祉新聞編集部旧優生保護法下での障害を理由とした強制不妊手術を違憲とした最高裁判決を受け、原告側と政府は13日、和解合意書に調印した。国は謝罪し、手術を受けた原告1人当たり最大1500万円の賠償金を支払う。最初の提訴から約6年7カ月。一連の訴訟は終結に向かうことになった。また、原告以外の被害者を、広く救済するため検討していた超党派議員連盟は18日、補償法案の素案をまとめた。秋の臨時国会での成立を目指す。
被害者が高齢化していることから、7月の最高裁判決後、早期の全面解決に向けた協議が進められてきた。
合意書には「国はあってはならない人権侵害を行い、長年にわたり多大な苦痛と苦難を与えてきたことを真摯しんしに反省し、深く謝罪する」と記され、今後、恒久対策や原告側との定期協議などに関する基本合意書を締結することも盛り込まれた。 合意書に基づき3高裁、6地裁で係争中の19人は順次和解していく。
賠償金は原告本人1500万円、原告が本人と配偶者の場合は本人1300万円、配偶者200万円。別に弁護士費用も支払う。
調印式には加藤鮎子こども政策担当大臣、原告団、弁護団共同代表らが出席。2018年1月に初めて提訴した飯塚淳子さん(70代、仮名)は「求め続けてきたことがやっと実現した。しかし、国に謝罪されても賠償されても、狂わされた人生は戻ってこない」と涙ながらに話した。
強制中絶も対象
補償法案も前文で国の謝罪を明記した。補償金として手術を受けた本人に1500万円、配偶者に500万円を支給する。この額より賠償金の額が低い人には差額を支払う。本人、配偶者が死亡している場合は遺族が受け取れる。これとは別に一時金として手術を受けた本人に320万円、人工妊娠中絶手術を強制された人に200万円を支払う。
被害の認定基準は現行の一時金支給法と同様に「明らかに不合理ではなく一応確からしいこと」とした。被害者が補償金などの請求を支援する体制の整備、第三者機関による原因究明と再発防止の検証なども盛り込んだ。