職場の障害者虐待 「医療・福祉」が最多(厚労省)

2024年0917 福祉新聞編集部

厚生労働省が4日に公表した「2023年度使用者(事業主や上司など)による障害者虐待の状況等」で、虐待が認められた事業所(重複あり)は前年度比4%増の447カ所、虐待を受けた障害者は16%増の761人だったことが分かった。障害者虐待防止法に基づき都道府県から労働局に報告があったものを毎年度取りまとめている。

通報・届け出のあった事業所は23%増え、過去2番目に多い1512カ所となった。通報・届け出の対象となった障害者は29%増の1854人だった。

いずれも増加傾向にあり、厚労省は「昨年5月にコロナの感染症法上の位置付けが5類に移行し、障害者の就労機会が増えたことなどが影響した」と推察している。

虐待を受けた障害者は知的、精神で7割強を占め、男性が6割。虐待種別は経済的虐待が8割で最多。障害者の就労形態はパート・アルバイトが6割、正社員が3割弱だった。

虐待をしたのは事業主が8割強、直属の上司が1割強。業種別では「医療・福祉」が23%で最も多く、厚労省によると福祉系事業所での虐待が目立ったという。ほかは製造業21%、卸売・小売業11%だった。

労働局の対応は「労働基準関係法令に基づく指導等」が9割弱で、そのうち3割弱は「最低賃金法に基づく指導等」だった。