〈能登地震〉福祉法人の地域支援 雄谷・佛子園理事長が講演(長野県経営協)

2024年0529 福祉新聞編集部

長野県社会福祉法人経営者協議会主催のセミナーが20日、長野市のJA長野県ビルで開かれ、1月の能登半島地震で輪島市と能登町の施設が被災しながらも地域支援に取り組んでいる社会福祉法人佛子園の雄谷良成理事長が講演した。

雄谷理事長は被害状況や復旧活動を説明し、5カ月たった現在必要なのは「人がどのような状態か把握すること。それには福祉のソーシャルワークが生かせる」と述べた。支援を過剰に受け続けていると介護状態が悪化してしまうため、残存機能を生かす福祉のアプローチが必要なことも強調した。

一方、福祉避難所には物資が届きにくくサポートが滞りがちだったことや、宿泊施設が少なくボランティアの受け入れが進まない現状も話した。

雄谷理事長は東日本大震災で仮設住宅を支援した青年海外協力協会長も務めており、仮設住宅での災害関連死の防止にも力を入れている。大事なのは「地域住民ごとの移転」と「福祉機能のあるコミュニティーセンターの設置」。仮設住宅で近所付き合いがあれば情報が入りやすく、そこで「福祉の本質を聞き出す力を生かせる」と述べ、センターが見守りをすることで孤立を防ぎ、災害関連死を減らせることを行政に働き掛け、ようやく実現に向けて進んでいることを説明した。

社会福祉法人に向けては「サービスを展開するだけでなく、地域の人に開かれた施設をつくると災害に強い拠点になる」と語った。

続くてい談では国土交通、厚生労働両省の担当者も登壇。災害時支援における行政の縦割りの弊害、自施設だけでなく地域を含めたBCPの作成などが議論となった。