地方の福祉法人、5年間で新たに267施設が首都圏進出

2023年1214 福祉新聞編集部

地方から首都圏に進出した224社会福祉法人が経営する施設は、福祉新聞が独自調査した2018年度からの5年間で267カ所増え、753カ所になった。

 

分野別内訳は▽保育施設394カ所(156カ所増)▽高齢者施設275カ所(79カ所増)▽障害者施設74カ所(28カ所増)▽児童・その他施設10カ所(4カ所増)。保育・高齢・障害各分野とも増えている。

 

 

都県別進出状況

 

保育施設の内訳は▽保育所388カ所▽認定こども園5カ所など。児童施設の大半は学童保育所で、同一建物内で保育所に併設されている。

 

保育施設は04年の指定管理者制度導入、05年の公立保育所一般財源化を契機に、公立保育所の民営化が進んだことで進出が始まった。その後、待機児童対策が大きな社会問題となった10年頃から進出法人が急増。待機児童問題はほぼ解消したが、公立保育所を民営化する自治体があり、進出が続いている。

 

高齢者施設は▽特別養護老人ホーム176カ所▽ケアハウス・養護老人ホーム20カ所▽小規模多機能介護事業所18カ所▽グループホーム17カ所▽介護老人保健施設11カ所など。同一建物内で特養ホームとケアハウスなど複数施設を運営している法人が多い。

 

高齢者施設は、介護保険制度が施行された00年以降急速に進出法人が増え、10年度以降は毎年10~24施設が新設されている。近年は小規模居宅介護支援事業所など在宅系施設も増えている。

 

障害者施設は▽障害者入所支援施設25カ所▽就労継続支援事業所20カ所▽障害児通所支援施設14カ所など。就労継続支援事業所や放課後等デイサービスなど通所系施設の設置が増えている。

 

障害者施設は、03年の支援費制度導入を受け、05年頃から進出が始まり、毎年2~10施設が新たに設置されている。

 

 

首都圏進出法人の経営種別状況

 

首都圏は施設の建設用地が少なく地価が高い。自治体が施設建設を計画する場合、同一建物内に複数施設を設置する複合型施設を計画するケースも多く、実際63カ所の複合型施設を地方法人が経営している。複合型施設を経営できるのは、保育、高齢、障害など複数分野での経営実績がある法人に限られるため、自治体にとっても進出する法人にとっても高いハードルになっている。