施設出身者への寄付募る 東京善意銀行がクラウドファンディングで

2023年1202 福祉新聞編集部

東京都社会福祉協議会(木村惠司会長)の東京善意銀行は、東京都の児童養護施設出身者らに祝い金を贈るため、クラウドファンディングサイト「READY FOR」を活用し、支援を呼び掛けている。東社協が株式会社によるサービスを活用して寄付を呼び掛けるのは初めてだという。

 

寄付は▽3000円▽5000円▽1万円▽3万円▽5万円▽10万円▽30万円――の7種類。寄付をすると報告書やウェブサイトなどに名前が掲載される。領収書も発行され、税額控除などの優遇措置もある。

 

目標金額は200万円に設定した。READY FORへの手数料を除いた金額が施設出身者らへの原資となる。

 

東京都の児童養護施設は約70カ所あり、高校を卒業して進学や就職をする社会的養護出身者は毎年200人ほどいる。今回1人当たり2万円の祝い金を贈る。

 

東京善意銀行は1964年に設立。2005年から東社協に移管され、寄付したい人と受けたい福祉施設をつなぐ役割を担う。22年度に寄付を受けた物品は100万点で、現金は3200万円。支援を受けたのは延べ約6700施設に上るなど影響は大きい。

 

ウェブサイトを通じて寄付を集めることについて平賀由香・福祉振興部長は「これまで東社協でリーチできなかった層にも支援を呼び掛けるため」と説明する。

 

サイト上では、寄付を呼び掛けるだけでなく、社会的養護の実態もアピールした。児童養護施設出身者らの約6割が自立に不安を感じている調査を紹介。また、退所する際に9割は「職員が支えになった」と答え、6割が「親の支えを期待していない」と回答している現実も訴えている。

 

平賀部長は「多くの人に社会的養護の実態を知ってもらえれば。活動のウイングを広げ、多くの人を巻き込みたい」と話している。