武見大臣「報酬改定で処遇改善に取り組む」 全社協 福祉懇談会で明言

2023年1023 福祉新聞編集部
あいさつする村木会長

全国社会福祉協議会は10月12日、都内で福祉懇談会を開き、国会議員や厚生労働省、こども家庭庁の幹部らが来賓として参加した。全社協は物価高騰などを背景に福祉人材の処遇改善などを要望。これに対し、武見敬三・厚労大臣は「来年度の報酬改定で処遇改善に取り組む」と明言した。

 

開会にあたり、今年6月に全社協のトップに就任した村木厚子会長は、生活困窮や孤独孤立、少子化、災害支援などさまざまな課題がある中、福祉人材の確保が本当に難しい状況だと指摘。「本日集まった社協や社会福祉法人は、強いネットワークを生かして、本当に必要な福祉を地域に届けたいと心から思っている」と訴えた。

 

具体的に福祉分野の最重要事項として、要望としては、全社協副会長の磯彰格・全国社会福祉法人経営者協議会長が、福祉人材の処遇改善や物価高騰への財政支援など6点を提示した。

 

経営協の調査によると、2022年度の赤字法人の割合は速報値で前年度に比べ9ポイント増の47%に上った。理由の一つは物価高騰で、1施設当たり平均940万円の負担増になっているという。

 

また、春闘による賃上げで全産業平均の賃金が上がり、介護職や保育士との差も拡大していると強調。「公的価格で経営する我々にとって安易なコスト削減はサービスの低下に直結する。我々の経営努力も限界だ」と語った。

 

これに対し、武見大臣は安心できる福祉社会の実現には、安定的に質の高い人材を確保することが不可欠だと指摘した。「厚労省としては人材育成支援や職場環境の改善を進めるとともに、来年度の報酬改定に向け処遇改善にもしっかりと取り組んでいく」と話した。

 

続けて、加藤鮎子・こども政策担当大臣は保育所に対し、専門知識を生かした地域の子育て拠点としての役割を担ってほしいと要請した。また、乳児院や児童養護施設、母子生活支援施設については多機能化を進め、地域の社会的養護の中核拠点としての役割を求めた。

 

会場には、衛藤晟一・社会福祉推進議員連盟会長のほか、田村憲久議員や加藤勝信議員、後藤茂之議員など歴代の厚労大臣、高市早苗経済安全保障担当大臣、橋本岳議員、阿達雅志議員らも訪れた。

 

衛藤会長は診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス報酬のトリプル改定では、安定した福祉社会に向けた将来の方向を示すことが重要だと強調。高市大臣はコロナ禍における生活福祉資金の特例貸付の対応への感謝を述べた。