全国社会福祉法人経営者協議会が着服事件で声明「福祉法人は売買できない」

2023年0222 福祉新聞編集部

 社会福祉法人の経営権が売買されたサンフェニックス事件を受け、全国社会福祉法人経営者協議会(磯彰格会長)は2月9日、声明を発表した。声明は「社会福祉法人に売買可能な経営権など存在しない」と強調し、悪質な犯罪を撲滅するために全力で取り組む姿勢を示している。

 

 事件は2016年、社会福祉法人サンフェニックス(広島県)の創業者である医師が、公認会計士の男性に経営権を移転。その後、公認会計士は医療協力などの名目で医師に資金を支出したという。

 

 当初預金は30億円ほどあったものの、5年で資金が枯渇し、法人は21年に民事再生を申請。警視庁は新旧の理事長を今年1月に業務上横領の容疑で逮捕した。元公認会計士は、日本公認会計士協会の理事も務めていた。

 

 これを受け声明は、事件について「医師と元公認会計士が結託し、社会福祉法人の厳しいガバナンスをないがしろにして私腹を肥やした」と指摘。改めて、社会福祉法人には売買可能な経営権はなく、法人外への資金流出も禁止されている点を訴えている。

 

 さらにこうした事件が再び起こることを危惧し「安心安全な社会保障制度の根幹を揺るがすことにつながりかねない」と強調した。その上で、犯罪撲滅に向け、理事会や評議員会などによるチェック機能の強化や、弁護士など専門家による第三者チェックの積極的な導入などを提言している。

 

 経営協は「本来、社会福祉法人には厳しいガバナンスが定められており、事件は社会福祉法人を舞台にした特殊で悪質な犯罪だ。早く全国の利用者や家族の不安を払拭できれば」と話した。

 

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