自治体の役割を明確化 女性支援新法で骨子案

2022年0224 福祉新聞編集部
女性支援団体から新法の早期成立を望む声が相次いだ(参議院本館)

 性的な被害などに苦しむ女性を支える法律の骨子案が2月16日、判明した。厚生労働大臣が定める基本方針に基づいて都道府県・市区町村が取り組みの計画を作る。これまであいまいだった地方自治体の役割を明確にする。売春防止法に基づく婦人保護事業を同法から切り離し、新しい法律として女性の福祉の増進を図る。議員立法として今の通常国会に提出される見通しだ。

 

 同日、有識者らで構成する「女性支援新法制定を促進する会」(会長=戒能民江・お茶の水女子大名誉教授)が開いた超党派の勉強会で明らかになった。戒能会長は「感慨無量だ。ぜひ今国会で成立させてほしい」と語り、上川陽子・前法務大臣が法案提出に向けた段取りを示した。

 

 新法の名称は「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案(仮称)」。支援対象は性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性などにより困難な問題を抱えた女性で、年齢制限は設けない。

 

 婦人保護事業には、都道府県に必置の婦人相談所の措置により、婦人保護施設(都道府県の任意設置。47カ所)に女性を入所させる仕組みがある。

 

 新法では婦人相談所を女性相談支援センターに、婦人保護施設を女性自立支援施設に改称する。措置入所の仕組みは残すが、「女性の意向を踏まえ」という文言を条文に入れる。

 

 婦人相談所や福祉事務所にいる婦人相談員(現在1533人)は女性相談支援員に改称し、市町村に配置の努力義務を課す。現在、婦人相談員は全国815の市区のうち390市区(48%)にしか配置されていないため、テコ入れを図る。

福祉の増進、人権擁護

 基本理念には「女性の福祉の増進」「人権の擁護」を盛り込む。国・自治体の財政負担の仕組みは現行とほぼ同じだが、民間団体に補助する規定を新設する。

 

 売春防止法は処罰的な要素が強く、支援を必要とする女性がサービスの利用につながりにくいことがかねて問題視されていた。

 

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