「多機能化の促進を」全国救護施設協議会・大西会長が訴え

2023年1031 福祉新聞編集部
大西会長

全国救護施設協議会(全救協、大西豊美会長=写真)などが主催する第45回「全国救護施設研究協議大会」が10月17、18日、甲府市で開かれ、約390人が参加した。

 

大西会長は基調報告で、「施設が入所事業以外に多機能化を進めない限り、淘汰されるかもしれないという危機感を持ってほしい」と訴え、多機能化について、認定就労訓練事業や施設の見える化を具体的な事例に挙げた。

 

全救協では「全社協福祉ビジョン2020」の具体化を図るため、「救護施設が行うべき生活困窮者支援の行動指針」を策定。生活困窮者自立支援制度による就労支援の積極的な実施と、第三者評価の受審促進による見える化をそれぞれ目標に掲げている。

 

調査によると、昨年度までに認定就労訓練事業を実施した施設は、全186カ所中、半数程度(実施予定含む)にとどまっている。見える化については、第三者評価の受審は徐々に増加傾向にあるものの、施設の活動そのものが外部や地域に知名度不足なことが指摘されている。

 

大西会長は「就労訓練や職業紹介といったことが施設ですべて完結できるのが理想。地域の生活困窮者問題に意識を向けてもらうことで、地域共生社会の一翼を担うことを期待している」と呼び掛けた。

 

見える化に関しては、全国に定員割れの施設があることを紹介した上で、「まずは施設を知ってもらう必要がある。福祉事務所、ケースワーカーの見学を積極的に受け入れることが、施設利用の第一歩になるのでは」と指摘した。