居住支援協議会が事業開始 事務局を救護施設が担う(大阪・吹田市)

2023年0419 福祉新聞編集部
吹田市居住支援協議会の設立総会

大阪府吹田市で、「住宅確保要配慮者」をサポートする居住支援協議会が設置され、4月1日から事業を始めた。吹田市社会福祉協議会と三つの社会福祉法人、不動産会社が会員となり、保証人を頼めないなどで住む場所を確保しにくい人々を支援する。事務局は、吹田市と救護施設が担う。転居先確保などの相談を受け付ける窓口を設置、24時間対応する緊急連絡先も引き受けて、5月から本格始動する。

 

今年2月に吹田市居住支援協議会が設立され、会長に吹田市社協の櫻井和子会長が就任した。市社協のほか、市内で救護施設「千里寮」を運営するみなと寮(大西豊美理事長)、保育所と高齢者施設を運営する成光苑(高岡國士理事長)、保育所と高齢者施設、障害者支援センターを運営するこばと会(正森克也理事長)と、不動産関係2団体が会員になった。

 

みなと寮は、吹田市住宅政策室とともに事務局を担当して主導する。成光苑やこばと会は、当面は啓発活動などの後方支援をする。

 

居住支援協議会は、2017年に公布された住宅セーフティネット法に基づいており、低所得者や被災者、高齢者、障害者などの「住宅確保要配慮者」を支援する。

 

国土交通省では、市区町村による協議会の人口カバー率を30年に50%とする目標を掲げている。現時点では30%程度のため、今年度も4月3日から協議会設立の補助制度の募集を始めた。

 

具体的な活動として、「孤独・孤立対策に資する入居中の見守り等の取り組み」「アウトリーチ型による入居支援を行う取り組み」「緊急連絡先の無償引き受け」など6項目が示され、すべて満たせば最大で1200万円まで補助される。

 

吹田では6項目すべてを視野に、今年度は国庫補助金1189万円で予算を組んだ。内訳は、専任職員人件費460万円、ウェブやパンフレット制作委託料124万円、車やパソコンリース料245万円など。

 

救護施設の主導で、一層豊かな支援が期待される。救護施設は、障害の種別によらず、保護を要する人を幅広く受け入れている。また、生活習慣を身につけて地域で暮らす「地域移行」を実践している。千里寮も、利用する精神障害者らの課題に、24時間365日の対応を行っている。

 

協議会は、入居時の引っ越し支援や、入居後の生活相談、就労支援なども行う。死亡した場合の事務や家財の整理をし、不動産業者や家主が貸しやすくする。

 

みなと寮の大西理事長は「幅広い人に手を差し伸べられるようになり、重層的支援体制構築の一助にもなる」と意義を述べた。

 

全国では今年3月末時点で、125の協議会が設立されている。

 

国交省安心居住推進課は、「協議会の設立で、住宅確保要配慮者への支援が、より多くなされるようにしていきたい」と話している。

 

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