誰でも通園で親支援 専任職員が相談支援(京都府)

2024年1224 福祉新聞編集部
こどもの遊びを保護者(左)と専任の保育教諭が見守る

京都府は、今年度実施されている国の「こども誰でも通園制度」試行事業に独自で保護者への支援機能を付加した「親子誰でも通園モデル事業」に取り組んでいる。保育施設に保護者も一緒に滞在し、専任の保育士らに育児の悩みを相談したり、保護者同士で交流したりしてもらうことで育児不安や孤立の解消につなげる。

国が2026年度からの本格実施を目指すこども誰でも通園制度はこどもの育ちを応援することが大きなテーマ。保護者の就労を問わず、0歳6カ月~満3歳未満児を一定時間保育所などに預けられる。現在試行事業が進められており、9月末現在111自治体が実施している。

京都府では府外出身の子育て世帯も多く、孤立したり、子育てに自信が持てずに悩んだりする保護者も少なくない。こうした背景から、府は試行事業で保護者支援も併せて実施できないかと、府保育協会と意見交換しながら独自制度の構築を検討してきた。

誰でも通園を試行する京都市と宇治市の13施設が府独自の親子誰でも通園モデル事業に取り組んでいる。経験豊富な保育士や保育教諭らを専任職員として1人以上配置してもらうことが必須で、親子通園に対応した回数に応じて府が施設に補助する仕組みだ。事業費は1500万円。

実施する施設の一つ、宇治市の「みんなのき三室戸こども園」(社会福祉法人宇治福祉園)ではおよそ40世帯が利用登録しており、1日3~5世帯の親子が訪れる。自身も子育て中である専任職員の村瀬美帆さん(保育教諭)らが連携して育児の悩みなどに寄り添っている。

宇治福祉園理事長で府保育協会長でもある杉本一久氏は「親子通園を利用してもらって一番大きな変化は保護者の笑顔が増えたこと。育児本だけでは分からなかった育児の不安や悩みを解消し、子育てが楽しくなったと話す保護者もいる。子育てについてネガティブな情報があふれる中、ポジティブで楽しいと発信する拠点になれれば」と話している。

府は誰でも通園が制度化されてからも同様の試みを続けたい考えだ。一方、独自の地方財源だけで府内一律に実施することは難しいとし、府はこども誰でも通園制度に保護者支援に対する加算を創設するよう国に予算要望している。