母子支援施設に助成金 入所者の体験格差なくす(共生会SHOWA)
2024年11月27日 福祉新聞編集部東京都世田谷区の昭和女子大が地域貢献の一貫として設立した社会福祉法人共生会SHOWA(坂東眞理子理事長)は、遺贈金をもとに、都内と川崎市内の母子生活支援施設計11カ所に計204万円を助成した。
経済的理由などにより体験の機会が少ない母子家庭を支援するのが目的で、各施設の職員と母子が相談して体験活動に活用してもらった。
法人は同大の資源を生かして保育所や学童保育、発達相談室(受託)などを運営している。遺贈金は川崎市在住の故八嶋圭子さんから「女性とこどものために活用してほしい」と受けた。今年度は母子生活支援施設に助成することにし、都内と川崎市内の全32カ所に広報し事業を募った。
母子生活支援施設は困窮する母子を保護して自立を支援する。DVから逃れてきた母子もいるため秘匿性が求められるが、その反面、施設の存在や機能が認知されにくく、児童養護施設などと比べて寄付などが届きにくい。例えば、お年玉をもらった経験のないこどもがいるなど、周囲と違うことで引け目を感じ、自己肯定感を育みにくい。助成はこうした実態を踏まえ、体験格差をなくし、新たな体験を未来につなげてもらうことにした。
体験活動は母子で温泉旅行に行く、新幹線に乗る、ディズニーランドに行くなどさまざま。ある施設では10月末に小中学生8人が劇団四季のミュージカルを鑑賞した。引率した職員の坂本一人さんは「話し合いはこどもが意見表明する機会になった。ミュージカルの迫力と感動の空気を味わい、会場まで特急電車に乗ったこともこどもたちの良い経験になった」と話す。
法人では遺贈金を活用した事業を10年程度計画しており、女性とこどもの未来の可能性を支援していく。