居場所指針策定へ こどもの視点、意見を反映〈こども家庭庁〉

2023年1006 福祉新聞編集部
中学生の勉強をサポートする石川さん(右)

「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の策定に向けた議論がこども家庭庁の部会で進められている。「その場を居場所と感じるかどうかはこども、若者本人が決める」――。

 

こどもの視点に立った多様な居場所が整備されることを目指し、指針にはこども、若者の思いや意見を盛り込む方針だ。

 

指針は年内の閣議決定を予定している。こども、若者からの意見や思いは対面とアンケートで聴取を終えており、何らかの形で反映させる見通しだ。

利用者から教える側に

愛知県稲沢市社会福祉協議会が実施する学習支援教室「ブリッジルーム」に、かつて利用者だった名古屋大1回生の石川梨緒さん(19)が教える側になって戻ってきた。

 

塾の雰囲気が苦手で通信教育を利用し、家や図書館で勉強してきたが、「学習環境を変えて気分転換したい」と、中学1年の夏からブリッジルームの利用を始めた。少人数で落ち着いた雰囲気の中、好きな科目を自分のペースで学習できる環境は石川さんの性に合い、中学卒業まで、ほぼ毎週利用した。

 

講師の大学生が親身になって疑問に答えてくれ、応用問題にもとことん付き合ってくれたことが何よりうれしかった。進路の悩みを相談した時はありのままを受け入れてくれた。

 

石川さんは今春から、学習支援補助員として月に1回ほど教えている。「もともと人に教えることが好き。(ブリッジルームに)恩返ししたい。当時の講師がしてくれたように、親身に寄り添っていきたい」。

 

こども家庭庁で議論が進んでいる、居場所づくり指針について石川さんは、居場所の周知を充実させ、情報格差の解消を図ることも重要な視点だと指摘している。

 

ブリッジルーム=稲沢市からの委託を受け、市社協が2016年度から実施する無料の学習支援事業。市内の中学生が対象で毎週土曜、市内2カ所(定員=各15人)で開催する。学習支援員(元教員)と学習支援補助員(大学生)に自由に質問でき、希望に応じて個別面談も行う。これまでに延べ233人が利用した。