障害福祉事業所の運営指導を強化 大規模法人には書面検査(厚労省案)

2025年0210 福祉新聞編集部
厚労省とこども家庭庁の合同会議

厚生労働省は自治体が行う障害福祉サービス事業所に対する運営指導・監査を強化する。就労継続支援A、同B型、グループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービスの5事業所について、2025年度から運営指導を3年に1回以上行う。事業所が二つ以上の都道府県にあり、国が所管する大規模法人(約920法人、24年12月時点)に対しては新たに書面検査を導入する。

厚労省は1月30日のこども家庭庁との合同会議で提案した。

運営指導の現行指針はおおむね3年に1回行うよう求めているが、実施率は16・5%と低い。また、事業所が急増する中、グループホーム運営大手「恵」のように多くの利用者に影響が及ぶ処分事例も発生しているため、障害者が安心してサービスを利用できるよう運営指導・監査を強化する。

特に営利法人が運営する事業所が急増している5サービスについては、運営指導を3年に1回以上に見直す。そのほかのサービスは、原則として指定の有効期間(6年)内に少なくとも1回以上行う。

また、全サービスとも、指定後間もない事業所には指定後3年以内に運営指導を行い、過去の指導内容などにより不適切な運営や不正請求が疑われる事業所は優先して行う。

30法人に実地検査も

一方、大規模法人に対する国による業務管理体制の一般検査の実施率が低いことから、すべての大規模法人を対象に6年に1回程度(年間150法人)の書面検査を行う。その上で年間30法人には実地検査も実施する。

さらに100以上の事業所を運営する24法人(24年12月時点)については、3年に1回程度の実地検査を行う。

新たに自治体向けマニュアルを作成

職員不足の中で自治体がより効率的に実効性のある運営指導・監査ができるよう25年度中にマニュアルを作成し、標準的なルールを示す。これまでは国が研修会で基本的な考え方を示すのみだった。 また、都道府県が行政処分を行う前に、厚労省に情報提供する仕組みも25年度から運用する。国が実施する自治体職員向け研修はより効果が上がるよう、開催を1月から年度初期の5月ごろに変更し、グループワークなどを取り入れて内容を充実させる。