障害児の親が「18歳の壁」訴え 見守りのため離職迫られる
2025年01月09日 福祉新聞編集部障害児や医療的ケア児を育てながら働く親の会は昨年12月17日、厚生労働省で記者会見した。こどもが18歳になり、特別支援学校を卒業すると午後6時ごろまで利用できる放課後等デイサービスは受けられなくなる。生活介護や就労継続支援B型などのサービスに移行することになるが、大半は午後3時ごろに終了するため、親は見守りや介助で離職せざるを得ない問題を訴えた。
こうした「18歳の壁」の背景には、2012年に放課後等デイサービスが事業化されて働く親が増えたことや、18歳までは児童福祉法、18歳以後は障害者総合支援法と制度が変わることなどが挙げられている。
親の会会長で重度知的障害のある17歳の娘がいる工藤さほさんは「生活費、兄弟姉妹を含めた教育費、親亡き後の子に残す貯金など、切羽詰まった事情で働く親がたくさんいる。離職防止策を講じなければ多くの家族が困窮する」と話し、国に対して生活介護の時間の延長など支援の仕組みを求めた。
親の会が行った「18歳の壁」に関する調査(回答310件)では、親の53%が正社員、24%がパート・アルバイトで働く。こどもは65%が特別支援学校または特別支援級に通い、93%は常時または部分的に見守りや介助が必要。放課後等デイサービスを平日週3回以上利用しているのは54%だった。
調査結果を踏まえ田中智子佛教大教授は「親の稼働期の所得が少ないと低年金になり、成人したこどもの障害基礎年金などが家計を支えることになる。老障介護のリスクを高める」と指摘した。