体で感じ、心躍る 風船ギターライブ 筑波技術大学園祭で

2023年1112 福祉新聞編集部
風船ギターを手にライブを楽しむ女児。右後方はTOMOKOさん

10月22日に開かれた茨城県にある筑波技術大(日本唯一の聴覚・視覚障害者の高等教育機関)の学園祭で、ギタリスト・TOMOKOさんの風船ギターライブがあった。バルーンアートで作られたギターを抱えると、中に入っている装置からギターの演奏が振動で伝わり、聴覚障害者も音楽を楽しめる。観客はこれまで味わったことのない体で感じる音楽とロックパフォーマンスで盛り上がった。

 

以前、TOMOKOさんのライブ中に聴覚障害のある夫婦が居眠りしていた。どうしたら音楽の楽しさを伝えられるか考え、音響のエンジニアだった経験を生かし、周囲の人の協力も得ながら装置を開発した。

 

ライブではTOMOKOさんの声が近くで伝わるボイスユニット、ドラムの演奏で振動するお立ち台もあり、ダイナミックなリズムが全身に響き、心も踊る。人工内耳をしている4歳の女児はTOMOKOさんの演奏を真似するなど満面の笑みをみせた。また、ステージ上のモニターには歌詞やトークが文字で映し出され、一緒に歌って楽しむ人もいた。

 

終演後、高校2年の男子生徒は「振動で迫力があった」、同大OBの女性は「ギターもドラムも体に響いて楽しめた」と感想を話した。

 

TOMOKOさんは「聴覚障害者のために活動しているのではなく、音楽は耳だけでなく体で感じるもので、どんな人も一緒に音楽を楽しめることを追求している」と話している。