滝山病院事件の被害者救済迅速に 議員や市民が要請活動

2023年1019 福祉新聞編集部
厚労省の担当者に要望書を手渡した

看護師らによる患者への暴行事件が今年2月に明るみに出た精神科病院「滝山病院」(朝倉重延院長、東京都八王子市)をめぐり、入院患者の転院や退院の支援が滞っているとして、迅速に救済するよう求める国会議員や市民団体らの要望活動が加速している。

 

転退院支援の拡充を求める280の団体や個人による連絡会議は10月10日、虐待が起きた場合の被害者救済の政策立案に向けて、精神障害者の家族会などと話し合う場を設けるよう武見敬三・厚生労働大臣に申し入れた。

 

同日、参議院議員会館で集会を開いた連絡会議事務局の天畠大輔参院議員は「精神科病院における虐待、暴行が抜本的に改善されないことについて、厚労省は怠慢のそしりを免れないのではないか」と述べた。

 

都などによると、今年2月に145人だった同院の入院患者は7月末時点で101人。26人が転院、施設入所、退院したものの22人が死亡した。2~7月に新規入院した人は4人という。

 

都は今年5月以降、患者のもとを訪ね、転退院の意向を聴取。連絡会議によると、9月末時点で転退院を希望した35人のうち、転院したのはわずか5人にとどまるという。

 

天畠議員や精神障害者の支援団体は3日、同病院を訪れ、今年度中に全員が安心できる場に退院できるよう協力する旨を申し入れた。

 

精神疾患を経験した当事者として厚労省検討会委員を務めたこともある加藤眞規子・こらーるたいとう代表(墨田区)は申し入れ後、「虐待されたのは自分だったかもしれないという思いを多くの仲間が持っている」と話した。