生命維持終了の新指針 4学会「医療者への教育を拡充」
2026年10月22日 福祉新聞編集部
日本集中治療医学会など4学会は10日、救急搬送されたり集中治療を受けたりする患者の生命維持治療の終了に関する新たな指針について、報道機関向け説明会をオンラインで開いた。
指針が適切に運用されるよう、患者や家族との話し合いの進め方や、緩和ケアなどについて医療者への教育を拡充する考えを示した。指針を巡り、「重い障害が残る患者の生命維持治療が安易に終了される」といった懸念があり、それに回答した形だ。
指針改訂委員会の伊藤香委員長は「一人ひとりが自分の人生を考えることが大事だ」と述べ、将来の治療について事前に話し合う「人生会議(ACP)」の普及を訴えた。
指針の名称は「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」で、9月28日に公表された。
患者の意思尊重を原則とし、治療の終了や差し控えを決める手順を明記した。旧指針と異なり「終末期」を定義せず、緩和ケアの独立した編を設けた。
4学会によると、2014年の旧指針は「終末期」が狭く解釈され、緩和ケアの記述が乏しかった。患者や家族が治療終了を望んでも、医療者が法的責任を懸念して治療を続ける例があった。
一度始めると止めるのが難しいとして医療者が最初から治療を控える例もあるという。
指針はこうした現状を改めることが狙いで「医療者の適切な判断を支える社会的な規範となり、法的な保護にもつながる」(伊藤委員長)とされる。
一方、人工呼吸器を使って暮らす障害者やその家族らは、指針は命の切り捨てを進めるものだと批判。指針の撤回を求める会見を9日に開いた。
4学会とは日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本循環器学会、日本緩和医療学会。指針は本編と説明文、緩和ケア別編、Q&A集の4点で構成され、各学会ホームページで閲覧できる。

