臨時報酬改定 介護職に月1万9000円の処遇改善 厚労・財務大臣折衝で合意
2026年01月10日 福祉新聞編集部
上野賢一郎厚生労働大臣は昨年12月24日、片山さつき財務大臣と大臣折衝を行い、今年6月の臨時報酬改定について、介護報酬を2・03%、障害福祉サービス報酬を1・84%それぞれ引き上げる方針で合意した。これにより職員の処遇は定期昇給も含めて月最大1万9000円引き上げになる。
介護報酬の引き上げに伴う国費は518億円。介護職員だけでなく介護従事者を対象に幅広く月1万円賃上げする。生産性向上などに取り組む事業所の介護職員には月7000円上乗せ。定期昇給も含めると介護職員は最大でプラス6・3%となり、月1万9000円の賃上げになる。
厚労省によると、介護従事者には特別養護老人ホームで働くケアマネジャーや事務職、リハビリ職、調理員なども含まれる。定期昇給分についても記載したのは春闘の発表形式に合わせた。
また、27年度介護報酬改定を待たずに、特別養護老人ホームにおける食費の基準費用額を1日当たり100円、負担が軽減されている低所得者分は最大60円引き上げる。
一方、障害報酬の引き上げに伴う国費は313億円。介護分野と同様に、障害福祉従事者を対象に幅広く、月1万円賃上げする。さらに、生産性向上などに取り組む事業所の職員には月3000円を上乗せする。定期昇給も含めると介護と同じく最大月1万9000円の賃上げとなる。
このほか、大臣折衝による合意文書は、現役世代の保険料率の上昇を止める方針を示し、今後も制度改革を進める方針を示した。介護保険の利用者負担が2割となる対象拡大については26年度中に結論を出す。
障害分野については、共同生活援助における総量規制や利用者の状況に応じた給付決定の仕組み構築などが盛り込まれた。
生活保護に関しては、生活扶助の特例加算を10月から1年に限り、現行の月1500円から月2500円にするとした。
保護受給者のうち介護施設入所者に対する1000円の加算については、食費や光熱費などが現物給付されていることから現行の水準を維持する。
大臣折衝を受け、福祉関係団体会長がコメントした。
■全国社会福祉法人経営者協議会の磯彰格会長
3年のサイクルを待たずに改定できた点は大いに評価したい。処遇改善の対象を介護職員だけでなく相談員など介護従事者へと拡大できたのも大きい。従来、100人職員がいれば2割が処遇改善の対象外だったため、多職種連携の現場を反映してくれたと言える。
しかし依然として全産業平均との賃金格差があり、人材確保は喫緊の課題だ。人材流出を防ぐためにも、全産業平均や物価上昇に応じた報酬の仕組みを導入してほしい。
一方で高齢・障害・児童など分野ごとに処遇改善の仕組みが異なるのは問題だ。制度が縦割りのままで、多角経営の法人は分野を超えた人事異動がしにくい。今後はもっと経営資源を機動的に活用できる仕組みを求めたい。
■全国老人福祉施設協議会の大山知子会長
現場を後押しする改定となった。特に食費の基準費用額は本会が求める水準には届いていないものの、5年ぶりに増額した意味は大きい。会員に調査して工夫の余地のない実態を数字で訴えたことも影響している。
ただ、他産業との賃金格差や物価高騰が収束する見通しはなく、ようやくスタートラインに立ったとも言える。引き続き基本報酬増や物価に連動した報酬の仕組みなど訴えていく。
改定前には首相も含めた多くの議員に陳情した。食の楽しみが奪われている現状を説明すると、ある政権幹部は要望書にマーカーを引き「老施協は利用者の生活が1番なのですね」と発言してくれた。引き続き医療関係団体とも連携し、理解者を増やしたい。
■日本知的障害者福祉協会の樋口幸雄会長
障害報酬は原則3年に1回改定され、次は27年度となっているが、それを待たず、26年度期中改定が実施されること、また、処遇改善の対象が幅広く障害福祉従事者に拡大されたことに感謝する。
一方、障害福祉と介護の賃上げ支援額の差が懸念される。厚労省は、障害福祉は利用者1人当たり総費用額が増え、直近の処遇状況調査で障害福祉職員の平均給与の伸びが介護より高かったためと説明しているが、仮に介護に比べて障害福祉の賃上げが進んでいるのであれば、それは障害福祉事業所の取り組みとして評価し、賃上げ支援額に差を設けないでほしい。
一般企業との賃金格差は拡大しており、格差是正に向けたさらなる対応をお願いしたい。

