医療的ケア児・者の災害支援 電源整備で避難場所確保〈大阪・みなと寮〉
2026年05月20日 福祉新聞編集部
社会福祉法人みなと寮(大西豊美理事長)が運営する大阪府河内長野市の救護施設みなと寮は大阪府富田林保健所と、災害時に医療的ケアが必要な人を施設に受け入れて支援する協定を結んだ。みなと寮は自家発電だけでなく、ポータブル電源を新たに確保して万一に備えている。協定締結は、みなと寮を含めて3社会福祉法人10施設と、1企業1施設に広がっている。
富田林保健所の管轄は富田林、河内長野、大阪狭山市、太子、河南町、千早赤阪村の3市2町1村。総人口は約28万6000人で、在宅の医ケア児・者は約30人。3分の2が18歳未満のこどもだ。
地震や豪雨などの災害で停電すると、人工呼吸器などは動かなくなる。常時、医療的ケアが必要な人は、いったん自宅を離れて、停電になっていない地域への移動か、非常電源のある施設への移動が不可欠となる。
大規模災害の場合は、広域停電になる可能性があり、非常電源を完備している福祉施設は避難先として期待されている。
家族、介助者の付き添い前提
今回の災害時支援協定では、医療的ケアが必要な人を「患者」と表記して、患者の療養に対する施設側の協力範囲について、次のように定めた。
(1)避難場所の確保および避難の際に必要な医療機器等の電源等の確保(2)人工呼吸器等、医療機器の電源(コンセント)提供(3)施設避難のための福祉車両を活用した移送支援(4)施設避難のため移送時や避難生活に対する人的支援。
また、協定書とは別に、災害時支援に関する細目を定めた運用要領を策定。その中で、災害で避難したときの患者への必要なケアは「その家族らが行う」と明記した。痰たんの吸引などの呼吸管理、胃ろうなどによる栄養管理、排せつ管理などは、常時、ケアしている家族や介助者が行うのが最も安全として、家族・介助者の付き添い支援を前提としたのだ。
さらに、避難が長期化した場合には、患者が日ごろから受けている医療系、福祉系サービスの担当者や、避難生活において必要な支援者の施設への受け入れを許可する、と定めた。
専用のポータブル電源
みなと寮では、施設の会議室を避難場所に充てて、簡易の間仕切りでベッド2~3床分を確保することを決めた。
また、患者の命にかかわる電源確保については、施設の自家発電の活用で対応するが、自家発電の電源が喪失する事態も考えられるので、患者専用のポータブル電源を新たに確保した。
3月13日にみなと寮で行われた締結式には、大阪府の広報担当副知事「もずやん」も登場。近くの障害児施設のこどもたちが見守る中で、大西理事長と富田林保健所地域保健課長の山内一寛さんが協定書を交わした。
協定の輪、全国に広げたい
山内さんは前任地の大阪府茨木保健所時代も、2022年ごろから、高齢者施設や企業と協定を結んできた。
「難病担当の保健師と『充電する場所がいるよね』と話し合って、支援を始めました。あまり例はないですが、しっかり連携しようと、協定締結の形を取りました」と山内さん。
全国救護施設協議会の会長を務める大西理事長は、「地震や豪雨など、異常気象で自然災害が増えている。山火事なども頻繁に起きている。避難先と電源の確保は、医ケア児・者の皆さんにとって命綱です。協定の輪を全国に広げていきたい」と話した。

