社会福祉財団が賛育会に1500万円を助成 ベビーバスケットや内密出産などで対応強化へ

2026年0216 福祉新聞編集部
賛育会の外観

 一般財団法人社会福祉財団(松寿庶理事長)は5日、東京都墨田区に本部がある社会福祉法人賛育会(平野昭宏理事長)に対して、1500万円の助成を行うと発表した。同会は2025年3月末から親が育てられない新生児を匿名で預かるベビーバスケット(赤ちゃんポスト)や内密出産を開始しており、助成金はこうしたプロジェクトの対応力強化に充てるという。

 賛育会は、東京大YMCAの医師らによる母子への無料医療相談が始まり。現在、都内外で病院や特別養護老人ホームなど幅広く運営する中、創立100周年の節目に、改めて母子の命を守る原点に立ち返ろうと「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」を立ち上げた。

 プロジェクトは、匿名で予期せぬ妊娠に悩む人のための電話相談、病院の一部職員だけに身元を明かしてこどもを産む内密出産、ベビーバスケットの3事業が柱。内密出産はさまざまな事情で身元を明らかにできない妊婦の危険な孤立出産を防ぐ狙いがある。ベビーバスケットは新生児の遺棄を防ぐ最後のとりでという位置付けだ。

 匿名相談は助産師や看護師ら専従の相談員で対応。内密出産とベビーバスケットは、東京都地域周産期母子医療センターでもある賛育会病院の医師や助産師、看護師、医療ソーシャルワーカーらが関わる。

 25年度のプロジェクトに関する費用は約2200万円となる見込みで、すべて法人への寄付と自主財源で賄うことにしている。26年度の予算は3000万円を見込んでおり、半分を助成金で充てたい考えだ。

 具体的には匿名相談や内密出産、ベビーバスケットなどに関わるスタッフの人件費に活用。また内密出産で産んだものの、経済的な問題を抱える女性を支える費用にも使われる。

1割が特定妊婦

 活動を支える公的な補助金もない中で、こうしたプロジェクトを立ち上げた背景には、これまで賛育会が直面していた現実がある。

 24年の賛育会病院の分娩数は743件。このうち約1割が複雑な事情により妊娠中から支援が必要な特定妊婦だった。妊婦健診を一度も受けないまま訪れる飛び込み出産も年20件以上あり、1年間で受け入れる妊婦の国籍は16カ国と幅広い。

 賛育会は「ソーシャルワークの視点を持ち、医療職や福祉職など多職種連携によるワンチームで取り組むのがプロジェクトの特長。26年度は支援の在り方をさらに強化できれば」と話す。将来的にはベビーバスケットのない社会を目指したいという。

 同財団は、社会福祉施設やボランティア活動の保険などを扱う株式会社福祉保険サービスが25年5月に設立。賛育会は第1号の助成先となった。今後も社会的で先駆的な意義ある事業や活動を行う社会福祉法人、社会福祉協議会を対象に助成を行う方針だという。

 社会福祉法人賛育会=1918年に東京大学YMCAの医師らが下町で母子を対象にした無料医療相談を始めたのをきっかけに誕生。庶民を対象にした日本初の産院も開設し、乳児院や貧困家庭を対象にした保育にも取り組んだ。その後、時代のニーズに合わせて事業を多角化し、現在12の診療科を持つ賛育会病院のほか、特養や老人保健施設、保育園などを運営。職員は法人全体で2000人に上る。

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