こども性暴力防止法 有識者検討会が運用指針案を了承
2025年12月28日 福祉新聞編集部
2026年12月25日の施行予定で、こどもと接する仕事をする人の性犯罪歴の有無を確認する「こども性暴力防止法」の施行準備検討会(座長=内田貴東京大名誉教授)は12月22日、運用指針案を大筋で了承した。性犯罪の発生を未然に防止することも重点に据え、対象事業者に対して、いずれ性犯罪につながる可能性がある「不適切な行為」を定めることを求め、具体例も盛り込んだ。
指針案では不適切な行為として、私物のスマホでこどもの写真、動画を撮影する▽こどもと私的な連絡先(SNSアカウントなど)を交換して私的にやり取りする▽休日や放課後にこどもと2人きりで会う▽こどもに不必要な接触をする▽視覚障害児の誘導時に必要以上に距離が近い――など24の行為を例示した。
一方、どのような行為が不適切に当たるのかは、事業の内容や対象となるこどもの発達段階、特性、現場の状況によるところが大きい。例えば、保育現場では保育士が乳児を日常的に抱っこするほか、スイミングスクールなどスポーツの指導では一定の身体接触が発生することもあり得るが、学習塾ではあまり考えにくい。
そのため指針案では、必要に応じて専門家に相談するなどし、「過度に(現場が)萎縮することがないよう留意しつつ、事業の実態に即して決定することが必要だ」とした。
性犯罪歴の確認では、学校や児童福祉施設、認定こども園などが義務付けられる。教員や保育士ら常にこどもと接する職種は一律対象で、事務員や送迎バス運転手らは現場判断で対象にできるようにする。
また、学習塾やスポーツクラブ、認可外保育施設などの民間事業者には任意の認定制度を設ける。オンラインで申請し認定手数料は3万円。認定を受けると信頼の証しとして国の認定マークを名刺や看板、ウェブサイトなどに表示してアピールできる。
性犯罪歴は新規採用や配置転換の際、内定、内示から従事開始までに確認。特例として、急な欠員や合併など、やむを得ず間に合わない場合は従事開始から最大6カ月以内に確認し、確認が済むまでは原則こどもと一対一にさせない。現職者は義務事業で法施行から3年以内、認定事業は認定から1年以内が確認期限となる。
性犯罪歴が確認された場合、新規採用は内定取り消し、現職者には配置転換などの措置を講じる。

