関係人口で登録制度 政府が地方創生の基本構想案
2025年06月15日 福祉新聞編集部
政府は3日、都市に住みながら継続的に特定の地域に関わる「関係人口」を1000万人にすることなど、10年後の数値目標を盛り込んだ地方創生の基本構想案を「新しい地方経済・生活環境創生会議」(増田寛也座長)に示した。月内に閣議決定し、年内に具体策を盛り込んだ「総合戦略」を策定する。
関係人口については、「ふるさと住民登録制度」を創設する。スマートフォンの専用アプリで好きな自治体を登録すれば、その地域の情報を受け取ったり、公共施設を利用したりできるようにする。
登録者に対してボランティア活動を募集するなど自治体側の活用も見込む。関係人口の規模や関係性を見えるようにすることで、担い手確保や経済の活性化につなげる。
特養、老健を転用
医療・介護については、10年後にすべての地方自治体がサービスの維持・確保できるよう規制緩和をはじめとした政策を打つ。
例えば、老朽化した特別養護老人ホームや老人保健施設をシェアハウスや障害者グループホームに転用すること、病床削減に伴って医療施設を用途転換することを促す。「将来を考えたまちづくり」と位置付ける。
中山間地や人口減少地域ではサービスの担い手も利用者もますます少なくなるとみて、各サービスの人員配置基準を弾力化したり、複数事業者の協働を後押ししたりする。
既存事業を集約
もう一つのキーワードは「集約化」だ。
こども、障害者、高齢者が通える小規模な拠点を整備することも視野に入れ、「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」を各地につくれるよう省庁横断的な検討チームを設ける。
高齢者、障害者、こども、生活困窮といった分野ごとの福祉の相談支援についても既存事業を集約する。各事業の人材を一本化したり、地域内での支え合いを強化したりする。
石破茂首相は同日の会議で「人口の増加期に作り上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムに転換することが求められる」とし、人口減少を正面から受け止めて官民連携を強化する考えを明らかにした。