障害者GH愛知県内5施設に指定取り消し 厚労省は「恵」に連座制適用

2024年0706 福祉新聞編集部
厚労省は「恵」が運営するGHを所管する自治体とオンラインで連絡会議を開いた

愛知県と名古屋市は6月26日、食費の過大徴収やサービス報酬の不正請求があった障害者グループホーム(GH)大手「恵」(東京都港区)の県内五つのGHに対し、指定取消処分を行った。合わせて厚生労働省は食費の過大徴収に組織的な関与があったと判断し、12都県にある99のGHの指定更新・新規指定を認めない「連座制」を適用した。

これだけ多数の障害福祉サービス事業所に連座制が適用されるのは異例。99のGHは6年ごとの指定更新が認められず、同社は順次運営できなくなる。約1700人の利用者に影響が及び、過大徴収は約2億9900万円に上る。

武見敬三厚労大臣は同28日の会見で「同社の責任は極めて重い。不正行為に厳正に対処する一方、利用者や家族の不安の声に丁寧に対応する」と述べた。

厚労省は利用者や家族、自治体からの問い合わせ窓口(電話03・3595・2500、gh-soudan06@mhlw.go.jp)を設置。サービス確保や今後の対応を共有するため、同28日に関係自治体と連絡会議も開いた。

一方、指定取消処分となったのは同県幸田町の1GH、名古屋市の4GHで、8月31日~12月1日に順次効力が発生する。県内でほかに22のGHが3カ月~1年の一部効力停止処分を受けた。

同社をめぐっては、2022年4月に愛知県内のGHで食費の過大徴収の疑いが発覚。疑惑は各地のGHに広がり、厚労省は23年6月以降、業務管理体制検査を行ったところ組織的な関与が認められた。同12月に業務管理体制整備について改善勧告を行ったが、適切な対応がなかったことから、同日、改善命令も行った。

日本グループホーム学会の荒井隆一代表の話 2000人近い利用者の生活の場を担保しなければならない。GHは住まいであり、それが奪われるようなことがあってはならない。住まいの場と障害福祉サービスは分けた制度にすれば今回のような問題はなくなる。