採用時に性犯罪歴確認「日本版DBS」 保育所、児童養護施設など

2024年0309 福祉新聞編集部

こども家庭庁は2月28日、自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部で、こどもと接する仕事をする人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」の創設に向けた法案の概要を提示した。児童養護施設や保育所、障害児施設などは採用の際に、同庁のシステムを通じた照会が義務となる。犯罪歴の照会は現職も対象とし、同庁は「現職で犯罪歴が発覚すれば解雇もあり得る」との見解を示している。

 

性犯罪歴の確認が義務となる対象はこのほか、乳児院や母子生活支援施設、障害児入所施設、小中高校、特別支援学校など問題が起きた場合に制裁の仕組みが整っている事業が対象。一方、自立援助ホームやファミリーホーム、学習塾、スポーツクラブなどについては義務ではなく、認定制度とする。

 

性犯罪歴の確認は、事業者が同庁のシステムに申請。同時に働く人も個人で戸籍情報などの必要な書類を提出する。その後、同庁は法務大臣に対して照会をかけ、犯罪歴がなければ、同庁が事業者に「犯罪事実確認書」を通知する。

 

犯罪歴がある場合は、事業者の前に個人に対して通知。2週間以内に内定辞退か訂正請求を判断する。内定を辞退すれば同庁から事業者に確認書を通知しない仕組みだ。

 

事業者には情報管理義務を課し、情報が漏えいした場合、罰則を設ける。

 

また、犯罪の種類と照会期間については▽禁錮刑(服役)以上の場合は刑の執行終了から20年▽拘禁刑(執行猶予の満了)は裁判確定から10年▽罰金刑は刑執行終了から10年――などとする方針。期間は過去の再犯データをもとに設定したという。

 

今回の制度では、現在働く人も対象になる。同庁は仮に犯罪歴が発覚すれば、こどもに関わらない部署への配置転換を求める方針で、場合によっては解雇もあり得るとの見解を示している。

 

詳細については法案成立後、ガイドラインを策定する。

 

同日の会合では、議員から「照会期間を延ばすべき」などとさらに厳格化する意見も出たという。今後、政府はさらに調整を重ねた上で、制度創設に向けた法案を今国会に提出する方針だ。