強制不妊手術「精神科医の責任重い」 学会が研究報告書
2024年02月16日 福祉新聞編集部精神科医らで構成する日本精神神経学会(三村將理事長)は1日、旧優生保護法(1948~96年)のもとで障害者に強制不妊手術をした問題に関連し、精神科医が果たした役割を明らかにする研究の報告書を公表した。強制的に手術する政策の立案には関与しなかったものの、患者を手術するよう申請したり、その申請を審査したりする側に精神科医が多くいたとした。
三村理事長ら幹部は同日、厚生労働省で会見し「都道府県ごとの優生保護審査会に入っていた精神科医の責任は申請者以上に重い」とし、被害者に謝罪する声明を発表した。
精神障害や知的障害への差別や制度上の不合理は今もあるとし、学会として改革に力を尽くしていく意向も示した。
研究は2018年夏に開始し、各地の文献に当たり、約2万人の会員に調査やインタビューを実施。手術の申請や実施に関与した学会員の談話(一部実名)も集めた。
強制不妊手術への精神科医の関与は、主に神奈川県、北海道の公文書から読み取った。
北海道では申請者のほとんどが精神科医で、精神病院に対しては申請数のノルマを課すかのような通達が出されていた。
報告書は300ページに及び、手術件数が多かった北海道、宮城県については学会員がまとめた独自の論文を収めた。学会公式サイトからダウンロードできる。
厚労省の資料によると、旧優生保護法下で病気や障害を理由に全国でおよそ2万5000人に不妊手術が行われたが、自治体に残った手術記録はその3分の1程度にとどまっている。