生活福祉資金コロナ特例貸付、379万件 3割以上が免除申請へ〈全社協〉

2022年1129 福祉新聞編集部

 全国社会福祉協議会政策委員会は11月22日までに、新型コロナウイルス感染症に伴う生活福祉資金特例に関する中間報告をまとめた。2022年9月に終了したコロナ特例は379万件の決定があり、総額は1兆4289億円。うち現時点で償還免除を申請した人は3割を超えた。全社協は、免除対象ではない人の中にはもともと困窮していた人も多いとして、免除要件の拡大を要望。貸し付けではない新たな給付制度の創設も訴えている。

給付制度創設も提言

 全社協は21年10月に宮本太郎・中央大教授を座長とする検討会を設置し、議論を重ねてきた。中間まとめによると、コロナ特例に関する緊急小口資金は161万4000件・3023億円、総合支援資金は217万9000件・1兆1265億8000万円に上った。

 

 このうち非課税世帯のため免除申請したのは30%。中には封筒を開けていないケースもあるとみられ、今後増える可能性がある。

 

 また22年3月末までの分析では、緊急小口特例の借受人は中央値が47歳。20~50代の稼働年齢層で8割を占めるなど幅広い年齢層が利用していた。職業は▽「自営業」30%▽「無職」18%▽「会社員・会社役員」16%――の順で多かった。

 

 さらに一部の県で借受人の月収を調べたところ、緊急小口特例を申請した際の月収は、「10~20万円未満」が34%とトップ。「0円」も14%いた。またコロナ特例の条件となった収入の減少幅は「10~20万円」が43%と最も多かった。

 

 調査を受け中間まとめは、償還免除ではないものの生活が困窮している人の再建には課題も多いと指摘。償還の免除要件の拡大とともに、緊急時に支援とセットにした新たな給付制度を創設するよう訴えている。

 

政策委員会提言

 

 同時に生活保護も含めたセーフティーネットの再構築も要望。社協の正職員の増員や既存の福祉施設の活用も強調している。

 

 コロナ特例の返済は来年1月から10年以上にわたり続く。全社協は「困窮者に借金を負わせる支援策でよかったのかというのが現場の声だ。実態を踏まえ、国として緊急時の困窮者支援のあり方を再検討すべき」と話している。

 

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