居住支援、総合相談へ制度見直し 国交省が中間報告案示す

2023年1212 福祉新聞編集部

国土交通省は5日、「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(座長=大月敏雄・東京大大学院教授)に中間報告案を示し、大筋で了承された。

 

住まい確保が難しい1人暮らし高齢者や障害者といった「住宅確保要配慮者」に対し、自治体の住宅、福祉部局が総合的、包括的な相談体制を構築するよう国が伴走支援する。

 

中間報告案には「国交省、厚生労働省、法務省は制度、補助、税など幅広い方策について充実や見直しの検討を進め、可能な限り早期に実施するよう連携して取り組むべき」と明記した。

 

国交省は今後、一部文言を修正し、意見募集を経て中間報告をまとめる。3省は住宅セーフティーネット法や生活困窮者自立支援法などの改正を視野に入れ検討する。

 

現在も住宅や福祉などの関係者が話し合う「居住支援協議会」があるが、6月末時点で設置済みの市区町村は全体の5%に当たる90に過ぎない。

 

国交省によると、住宅を貸したい人は多い半面、高齢者や障害者に貸すことには7割の大家が拒否感を持つという。近隣とのトラブルや家賃不払い、死亡後の対応などへの不安が主な理由だ。

 

そうした不安解消に向け、住宅確保要配慮者への賃貸住宅の供給を促す「住宅セーフティネット法」が改正され、2017年10月に新制度が始まった。

居住支援法人を活用

新制度により、要配慮者を拒まない賃貸住宅の登録戸数は増え、要配慮者に家賃債務保証の提供、住宅情報の提供・相談、入居後の見守りなどを行う居住支援法人(都道府県が指定)は716法人に至っている。

 

居住支援法人には補助金が出るが、全体の半数は赤字。賃貸借契約時の保証人の引き受け、法人が借りて転貸するサブリース、入居者死亡後の葬儀・納骨を「未実施」とする法人も半数以上だ。

 

そこで中間報告案は今後の基本的な方向について、国による自治体への伴走支援と並び、「居住支援法人の機能を最大限・効果的に活用する」こととした。