「市区町村との連携を」荒井会長が呼び掛け〈全国母子生活支援施設協議会〉

2023年1105 福祉新聞編集部
講演する荒井会長

全国母子生活支援施設協議会(荒井惠一会長)は10月24、25日、岐阜県内で第66回研究大会を開いた。今年度から全母協の会長に就任した荒井氏は、施設存続への危機感を示し、来年4月施行の改正児童福祉法に向けて市区町村との連携を呼び掛けた。

 

母子生活支援施設は、困窮やDVなどの事情を抱えた母子が暮らす施設。福祉事務所を通じて利用することができる。

 

全国に215施設あり、約2100人の職員が働く。入所定員は4441世帯だが、実際に暮らすのは3135世帯と充足率は7割ほどとなっている。

 

国はこれまで母子生活支援施設に対して、多機能化と高機能化を求めてきた。

 

来年度から市区町村に設置される「こども家庭センター」は、支援の必要な家庭にサポートプランを作り、民間と一体となった支援を行う。その際、さまざまな機能を持つ母子生活支援施設を重要な地域資源の一つに位置付けたい考えだ。

 

大会の基調報告で荒井会長は、こうした多機能化や高機能化に向け、特に産前産後のサポートやアフターケアを含む地域支援、親子関係再構築支援に力を入れるよう強調した。「サポートプランにどれだけ関与できるかが課題だ」と述べ、市区町村との緊密な連携を訴えた。

 

また、「今後何も行動しなければ、母子生活支援施設は減少し、存続危機になる可能性がある」と指摘。その上で「実践を通じて、母子生活支援施設の存在をしっかり示すことで、支援を必要としているお母さんやこどもを守ることにつながる」と語った。