【立正大・下】知識、体験の一体化
2026年01月07日 福祉新聞編集部
熊谷キャンパスに社会福祉学部が開かれてから今年2021年で25周年。板野晴子学部長は大学のホームページにメッセージを掲載している。その一部を紹介する。
「次の節目の30周年にむけて更なる向上を目指しています。本学部は『福祉』と『保育』と『教育』という分野を中心として、学際的な学びの門戸を開いております。学生の皆さんは、この学びの三つの柱を探求することによって学部全体として乳幼児から高齢者まで、また、個人・家族・社会に至るまで、幅広い対象を包括的に捉えることができるようになるのです。
現代社会には、孤独・貧困・疾病・災害などによる乗り越えなければならないさまざまな課題が溢あふれています。その解決手法が本学部の学びの中にあります。我々社会福祉学部の教員は、福祉と教育の専門家として学生の皆さんと共にこれら課題に真摯に取り組んでいます」。
その教授陣は、実務経験者、現場関係者が多い。音楽で子どもの意欲や集中力を育てるリトミック研究・実践の第一人者が板野学部長。蟻塚昌克教授(社会福祉原論)は厚生労働省、池谷秀登教授(公的扶助論)が福祉事務所で、鈴木浩之准教授(児童福祉論)は児童相談所の職務経験者。社会福祉協議会関係者では、新井利民准教授(地域福祉論)と藤高直之専任講師(家庭支援論)がいる。児童領域では、白井健次教授(障害者教育総論)が特別支援学校の職務経験者、村尾泰弘教授(臨床心理学)が家庭裁判所で、大竹智教授(社会的養護)は児童養護施設の職務経験者だ。土屋典子准教授(高齢者福祉論)は福祉公社。森田久美子教授(精神保健福祉学)は、今懸案となっているヤングケアラー支援の口火を切る。
充実した実習環境
また、社会福祉学部には専門家として成長できる充実した環境もある。熊谷キャンパス内には子育て支援センター「ベアリス」があり、特別養護老人ホーム「立正たちばなホーム」は隣接している。これらは社会福祉を研究・実践する上で有用である。学生たちは知識と体験の双方を身につけることができる。
「ベアリス」は、熊谷市の委託事業として、2011(平成23)年に開設。地域の子育て親子の交流の場として利用されている。未就園児が多く、ベビーマッサージやお話会、子育てサークルの交流事業が行われ、学生たちは授業だけでなくサークル活動や補助スタッフとして関わることができる。
高齢者福祉を実践する組織として社会福祉法人「立正橘会」の特別養護老人ホーム「立正たちばなホーム」は隣接している。
理事長は大学のOB、理事には社会福祉学部長が就任している。開設は2000年、従来型定員50人、ユニット型定員50人。ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターも運営し、ホームヘルパーの利用申し込みや調整などもしており、「利用者個々人が尊重される生活の場の創造」「福祉の人材育成」を中心理念に、地域福祉支援の拠点としての役割を果たしつつある。
古山祥道理事長は立正大学の卒業生で日蓮宗妙賢寺(埼玉県東松山市)の住職。施設内ではお彼岸など仏教的な行事は大切に引き継がれており、法要では理事長が僧侶の衣装に着替え経を読む。理事長の厳かな姿はお年寄りたちに好評だ。
施設と立正大学との関わりは密で、「大学とは隣同士、縁が深いので、職員研修に大学教授が来てくれます。アカデミックな大学の雰囲気に触れるいい刺激にもなっています。また、アルバイトやボランティアの募集をすれば、学生がすぐに集まるので大変助かります」とは中村淳施設長(卒業生)。福嶋克巳副部長(大学院修了)は「職員による職場実践報告会にも学生たちが聞きに来てくれます。ホームのお祭りに学生が力仕事を手伝ってくれるのもありがたい。また、学生が来るのを、孫がやってくるように入所者が喜んでくれます。職員たちも大歓迎です。有形無形のメリットになっている」とも語る。
竹内剛史介護支援専門員は就職して17年の中堅。「立正大学には兄の影響で社会福祉という学問があるのを知り、これからの学問だと思い入学した。卒業し、実践の場としてホームに就職。与えられた仕事を一生縣命にやっております。3K職場とも世間でいわれますが、介護の仕事を選んだ以上は覚悟の上でした。仕事をして利用者の方や家族の方から笑顔で喜んでもらえることがうれしい」と語る。
立正大学の熊谷キャンパスは、大学と連携した施設の存在が、フィールドワークを通して地域に貢献しながら、同時に実践力を培う事実を目の当たりにできる。

子育て支援センター「ベアリス」での活動
なりたい自分へ
こうした学部の取り組みは、学生の立場からすると、思い描いた『なりたい自分』へ進める、見つける、ことになる。社会福祉士、精神保健福祉士合格率はともに、毎年全国平均を大きく上回っている。保育所・幼稚園のためのリトミック指導者資格1級合格率は100%。昨年度末で9年連続全国1位である。立正精神を建学の精神とした「モラリスト×エキスパート」を育む教育は着実に実を結んでいる。

