精神科病院の行動制限は継続審議 厚労省、教育を先行
2025年12月08日 福祉新聞編集部
精神科病院の入院患者に対する隔離や身体拘束といった「行動制限」を減らすことについて、厚生労働省は1日、この論点を継続審議とする考えを同日の「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」(座長=田辺国昭東京大大学院教授)に示した。
当面は行動制限を大幅に減らすことができた好事例を収集・分析し、教育資材を医療機関に普及させる。その成果を周知し、医療機関の組織風土を変えることを先に進める。これまでの議論を整理した資料にこうした方向性を明記した。
行動制限が許容される条件を明示した厚生労働大臣告示の改正については触れず、態度を保留した。告示改正をめぐっては、2022年に成立した改正精神保健福祉法の衆院、参院の付帯決議が必要な措置を講じるよう政府に求めていた。
同検討会は24年5月に発足し、計12回開催した。入院機能の整理やオンライン診療拡充の是非など、医療提供体制をめぐる議論は大筋で方向性をまとめたが、患者の行動制限については踏み込み不足のまとめになり、一部委員から不満の声が上がった。

