困難女性支援、神奈川県の要請で弾力化 サテライトにも通所可 

2024年0729 福祉新聞編集部

4月施行の困難な問題を抱える女性支援法に関連し、厚生労働省が今年度始める通所のモデル事業が弾力化されたことが分かった。厚労省は当初、女性自立支援施設(旧婦人保護施設)の入所に至らない人が同施設に通うことを想定していたが、施設外の物件(サテライト)に通所することもできるようにした。

同施設は配偶者の暴力から逃れて入所する人もいるため、居場所を隠す必要度の高い場合がある。同じ場所で通所事業を行うことに不都合も起こりえると判断した。神奈川県の首藤健治副知事が4月、厚労省に出向いて要請し、厚労省は要綱に反映した。

首藤副知事は9日、県の女性活躍推進議員連盟(小川久仁子会長)主催の研修会で「国にはとてもよく理解していただいた」と話し、小川議員が県議会でこの問題を取り上げてからの経過を報告した。

モデル事業では、困難な問題を抱えた若年女性やこどもを同伴する女性が施設入所に至らなかった場合、その後の支援を途切れさせないため、通いを受け入れて心理的なケアなどをする。

実施主体は都道府県で、1施設年間557万円を基準として、その4分の3を国が補助する。県の要請を踏まえ、厚労省は賃借料も補助の対象経費に含むことを要綱に明示した。現時点でモデル事業を行う自治体はない。

県は、県内の女性相談支援員に調査した結果、8割が「通所支援が必要」と回答したことを踏まえ、具体的な実施方法を検討する。

女性自立支援施設は39都道府県に47カ所あり、2022年度の年間平均入所者数は220人。定員充足率は18%にとどまる。施設機能を有効に活用することや、通所を含め支援方法を多様化することがかねて課題となっていた。