救護施設が地域の「なんでも屋」 専任相談支援員も育成(長野)

2022年1208 福祉新聞編集部
相談支援ではこどもの世話をすることも

 社会福祉法人信濃福祉(西村行弘理事長)の救護施設「旭寮」。赤い羽根福祉基金の助成事業を活用し、以前から実施していた生活困窮者の緊急一時生活支援事業と相談支援事業の継続、次期専任職員の育成に役立てた。

 

 旭寮は、1967年創設の救護施設。長野駅から約3キロの住宅街にある。老朽化に伴い、2018年7月に同じ町内の現在地に移転。今年3月には居住支援法人の認可も取得した。施設長も兼任する西村理事長は、県の救護施設協議会長も務める。

 

 02年から法人独自で緊急一時生活支援事業を始めた。県内には当時、ホームレスが20人ほどおり、福祉事務所や警察などからの要請を受け、1部屋2人定員で受け入れた。

 

 当初はホームレスが多かったが、DV被害者や家族から虐待を受けた若者、犯罪被害者など、徐々に利用者像が変化。こうした背景から、14年から相談支援事業も始めた。

 

 精神保健福祉士などの資格を有する元看護師の相談支援員を、1人専任で配置した。

 

 地域包括支援センターや福祉事務所などからの依頼で、高齢者の買い物支援や、精神疾患のある保護者のこどもの面倒をみるといった「何でも屋」としての役割を果たしてきた。

事業継続にハードル

 その後、順調に事業を続けていたが、課題も山積していった。

 

 「相談支援員が(19年当時)定年を間近に控え、施設が移転新築したこともあって人材的にも金銭的にも余裕がなく、後継者育成に行き詰まっていた」(西村理事長)。人件費だけで年間約400万円はかかる計算になる。

 

 そこで、両事業を継続しつつ新たな専任職員も育成するため、助成事業活用に踏み切った。

2人体制で相談支援を継続

 引き継ぎをするため、新たな相談支援員に小林恭子さんを迎え、2人体制にした。助成期間中はコロナ禍だったが、緊急事態宣言が出たときにも利用制限することなく、相談を必要とする利用者を受け入れた。

 

 刑務所から出所した若い女性の自立支援や、知的障害がある高齢男性の障害福祉サービス利用に向けた関係機関との連携など、3年間で多くの案件を経験した。

 

 「相談支援の利用者さんには、何でも言いやすいように家族同然で接するようにしています」と小林さん。

 

 3年間の助成額は1413万6091円。主に専任の相談支援員の人件費に充てた。現在は代替わりしており、西村理事長は「小林さんには、十分事業を任せられます」と信頼を置く。両事業は、現在も法人からの持ち出しにより継続している。

 

 

 社会福祉法人信濃福祉=1907年に、司法保護団体「福寿園」を設立したのが始まり。45年には更生保護施設「裾花寮」を設立。救護施設としては、67年に旭寮を開設し、2021年に法人名を信濃福祉に変更した。法人全体の事業費は約3億1500万円(21年度)。旭寮の正規職員は28人。

 

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