古代オリエント博物館が視覚障害者向けツアー 展示品触って歴史学ぶ
2022年09月28日 福祉新聞編集部古代オリエント博物館(東京都豊島区)は9月10日、視覚障害者向けの展示解説ツアーを開催した。展示に関連する資料のレプリカや触図を実際に触れながら解説をする取り組みで、今回のテーマは「シルクロード」。3人の視覚障害者が参加し、シリアで発掘された実物の「ヘラクレスの胸像」を触るなど、貴重な体験をした。
ツアーは点字が打たれている地図を触って、東アジアから欧州までを結ぶシルクロードがどのようなルートをたどっているかを理解するところから始まった。
ツアーのハイライトは、ヘラクレスの胸像を触る場面。1~3世紀に作られた実物で、普段の展示では触ることを禁じているが、今回は特別に触れることができた。
参加者は胸像の顔や目、口などを丹念に触りながら「大昔に作られたものとは思えない」「部分ごとに質感が違う」など、レプリカでは味わえない触感を楽しんだ。
同博物館の高見妙さんは「障害の有無に関わらず誰にでも開かれているのが博物館です。(ツアーの開催で)博物館本来の役割を果たすとともに、職員の意識付けにもつながっています」と話した。
視覚障害者向けツアーは、今後年に3~4回のペースで実施していく予定だという。