「福祉は綱から網へ」 社会福祉法人の連携を求める声
2026年09月08日 福祉新聞編集部
全国社会福祉法人経営者協議会(磯彰格会長)の全国大会が8月27、28日、岐阜市の長良川国際会議場などで開かれ、1300人が参加した。磯会長は地域のセーフティーネットとして社会福祉法人への期待が高まっているとして、地域での連携を一層進めるよう呼び掛けた。
開会式で磯会長は、少子高齢化や物価高騰など社会福祉法人を取り巻く環境が厳しさを増す一方、地域のセーフティーネットとしての期待は大きくなっているとの認識を示した。その上で「地域インフラとしての役割を果たし、地域共生社会の実現を主導することが我々の使命だ」と強調。「それぞれの地域で培った実践や知恵をつなぎ合わせ、分断ではなく連携、対立だけでなく協働へと広げていこう」と呼び掛けた。
続く基調報告で谷村誠副会長が社会福祉法人の環境変化や経営協の活動について説明。採算性を問わず困っている人に手を差し伸べることが社会福祉法人の本業だと強調した。
今年6月に成立した改正社会福祉法は、身寄りのない高齢者らへの支援を強化するため、日常生活支援や入退院の手続き、死後事務などを法制化した。その担い手として、社会福祉法人にも期待が寄せられている。
谷村副会長は、2028年4月以降に新制度が始まることを見据え「社会福祉協議会だけでは足りないニーズがある中で、その人らしく生きられる環境づくりこそが我々の役割だ」と語り、積極的な参画を促した。具体策として、市町村社協を中心に複数の社会福祉法人が連携し、地域のニーズに対応する体制づくりを挙げた。
谷村副会長は、地域課題の解決について「社会福祉法人の実践を見える化するもの」だと指摘。ソーシャルワーク機能を後押しし、地域の公益的な取り組みを進める姿を国民に示すことが、社会保障を支える財源負担への理解につながると訴えた。
特別講演に全社協の村木会長

村木会長
全国社会福祉法人経営者協議会(磯彰格会長)が8月27日に岐阜県内で開いた全国大会では、「分断から連携」をテーマに特別講演やパネルディスカッションが行われた。
特別講演には全国社会福祉協議会の村木厚子会長が登壇し、厚生労働省の元官僚としての経験を踏まえ、社会保障の財源確保の難しさなどを語った。「福祉が安定していれば、他産業も含めて社会全体が良くなる」と指摘。福祉を単なるコストではなく、より良い社会をつくる基盤として捉え、国民に意義を伝える必要があると訴えた。
また、福祉の仕事を命綱に例え「長く太い綱を作っても、両手でつかむ必要がある。細くても網にしたらいいのでは」と提起した。専門職だけでなく地域や住民ともつながり、重層的に支える仕組みづくりを呼び掛けた。
続くパネルディスカッションには、スナックのママと女性秘書が都知事選に挑むドラマ「銀河の一票」のプロデューサーである佐野亜裕美さん、経営協の久木元司副会長、高齢・障害・求職者雇用支援機構の石垣健彦理事長代理が登壇した。
ドラマは選挙戦を描く中で、困窮や孤立などの社会課題を取り上げている。佐野さんは「企画に当たり、現場に足を運ぶとイメージとは違う現実があった」と述べ、課題の背景は複雑だったと振り返った。その上で、社会の前提が変化する中、社会福祉法人も何ができるのか考えてほしいと語った。
久木元副会長は人口動態や産業構造の変化を踏まえ「法人同士のネットワーク化を進めるなど、綱から網に変えていくアプローチが必要だ」と強調。分野を超えた連携に加え、機能再編や事業転換も必要だと訴えた。
石垣理事長代理は、女性や高齢者の就労拡大で支えてきた労働力の確保が今後は難しくなるとの見通しを示した。働き方改革やリスキリング(学び直し)などを進めることで、多様な人が能力を生かして働ける環境を整える必要があると語った。

